審査特別委員会にて、「尼崎市総合計画後期まちづくり基本計画」のすべての審査が終了しました。
尼崎市総合計画市民懇話会の時から関わっていましたので、愛着のある計画でした。
審査の最後に、所属会派「緑のかけはし」を代表して意見表明をさせていただきました。
以下に全文を掲載します。
尼崎市総合計画後期まちづくり基本計画について、緑のかけはしの意見を申し上げます。
ありたいまちを作るために、市民主体の地域をつくり、ともに進めるまちを作るために、それを支える行政のしくみをつくる。
それを5年間で実現するための16施策48展開方向について、進捗状況を測る主な指標にあいまいなものを若干感じますが、どの施策も市民の参加と行政権限の壁を乗り越えないと実現できません。
前期まちづくり基本計画においても、その点、関連する複数の施策を実施するため「マトリックス型の施策体系」を組み、施策間の連携の重要性を意識していたかと思います。
前期計画PDCAの中で検証することが必要だと感じています。
自治体は直接、社会に貢献できる公的組織です。
その成果は地域社会を良くし、市民の幸せに貢献するものです。
その成果を実現する計画が総合計画だと思っています。
その成果を上げるため、行政運営の実行力を高めていくために、マネジメント系の能力の向上が課題とされています。
しかしながら「マネジメント」の捉え方や考え方、具体的手法がバラバラでは成果がでにくいのではないでしょうか。
共通言語としての「マネジメント」が必要です。
マネジメントの成果とは、社会のためになすべき、組織の外で認められる、組織全体の成果であり、その成果を通じて社会を良くし、人の幸せに貢献するものとしています。
また、限りある資源で、最大の効果をだすためのものです。
その考えに基づいたマネジメントを共通言語とするためにも、上から下へ、横断的に全庁に、議会も含め外部のマネジメント研修の導入を要望します。
尼崎は市民の盛り上がりにパワーを感じますが、行政への市民参加については、「尼崎市自治のまちづくり条例」が市民のものになっていなかったり、市民意識調査において「市政に関心がある」と回答した市民の割合が53,5%であったり、ここしばらくの選挙投票率をみても、よほど力を入れて、地域の課題を解決するのに行政の力だけでは難しいことを認識し、パブリックコメントを含め、丁寧にコミュニケーションをとり行政が歩み寄る努力が必要です。
また市民参加といっても、地域や立場、人によりニーズや要望はまちまちです。
施策によっては受益者と被害者に分断されることもありえます。
そうならないためにも、地域課題が一望できるような情報の公開と周知が必要だと思っています。
そこから個別利害を超えた公共的な、共通するものをさがす議論が生れるのではないでしょうか。
その点、総合計画は尼崎の課題を網羅しています。
「尼崎市自治のまちづくり条例」や総合計画をわかりやすく、わくわくする形で、様々な方法で伝えることを要望します。
本市の合計特殊出生率は1.52、全国平均と比べ高いものの、人口が増えるとされているライン、2.7には遠く及びません。
平成28年版内閣府少子化社会対策白書では晩婚化、非婚化、少産化が進む原因に雇用環境をあげています。結婚意欲は正規雇用が高く、非正規が低いというデータがあります。
非正規化が進み、経済格差が広がるままでは、少子化の解消は望めません。
雇用政策は国の守備範囲とはいえ、市としてもできる限り、雇用の質の改善に努めることが人口構成の改善に寄与すると考えます。
この点に意を用いた計画実行を求めます。
本市は後期まちづくり計画の施策にあるように様々な課題を持っています。
その一つとして、注目しているのはソーシャルビジネス、社会的企業です。
施策13にあるように社会的企業の活躍は、高齢化への対応や環境問題等さまざまな社会課題の解決への寄与が期待できます。
本市は、様々な社会的課題を持っています。市民ニーズは高いと推測されます。
重点的に社会的企業を育成し、ソーシャルビジネス先進市として、雇用を創造することは有効だと思っています。
地域から噴出するさまざまな問題は、縦割行政の限界を自覚できる貴重な機会かもしれません。
後期まちづくり基本計画は総合計画市民懇話会の時から関わらせていただいただけに愛着があります。
関わることで、シビックプライドの醸成につながるものと実感しています。
本計画が本市を照らす計画となるように願いつつ、注意深く見ていきます。
以上で緑のかけはしの意見表明を終わらせていただきます。